2023年に入っても各国はまだ高インフレに頭を悩ませています。そんな中でいくつかの国が金利据え置きという利上げを停止させる動きに出ています。
利上げの停止はリスク資産にとって、とても良い情報です。
今回は各国がどのような動きをしているのか最近のニュースを元にまとめ、IMF(国際通貨基金)による経済の見通しも確認していきます。
いまだに続く高インフレに対する各国の考えや対策を知り、大きな経済の転換時期に差し掛かろうとしている世界経済をぜひ注目してみてください。
1|世界の中央銀行による金融政策の動き

2020年のコロナショックを経て、世界各国は急激な物価高に頭を悩ませています。
高インフレに対応するため、2021年末や2022年頭から急激な利上げ(金融引き締め)を実施しています。
引き締め以降、S&P500は最大30%ほどの下落、BTCは80%ほどの下落をしています。
そして2023年に入り段々と利上げの動きをやめる金融引き締め停止の動きが出てきています。
引き締めの停止は、悲観相場が終了する可能性も考えられるものです。
今回は一部の国の動きをまとめていきます。
| 金利据え置き派(引き締め停止) | オーストラリア、カナダ、一部新興国 |
| 追加利上げ派(引き締め継続) | アメリカ、イギリス、EUなど |
1-1|金利据え置き派(引締め停止)
オーストラリア
オーストラリアは4月4日に金利据え置きを発表しました。
豪中銀総裁は据え置きの判断をした理由として、これまでの利上げの影響と経済見通しを評価する時間を確保することを挙げています。
今回はいったん利上げをやめ据え置きになりましたが、これが利上げの終了とはしていません。

一方で、豪市中銀行のエコノミストはこの先経済の悪化が表れてくると予測しており、現在の金利(3.6%)は金利のピークになるとの見方を示しています。
このように中央銀行とは少し異なる見方をしています。

カナダ
カナダはすでに3月に利上げの停止を発表しており、G7として初めての動きとなっていました。
ただしカナダ中銀も再びインフレ抑制の必要があれば利上げをする考えがあるとしており、オーストラリア中銀と同じスタンスをとっています。

一部の新興国
新興国でも利上げ停止の動きはあり、ポーランドや中国などです。
またインドネシアやトルコはすでに利下げ(金融緩和)も実施している状況です。
これらの国々は先進国ほどの経済基盤の強さがないため、景気悪化の懸念から早めに据え置きへの対応に切り替えている様子も見受けられます。
また、国によってはすでにインフレの下がりが見え始めていることから、経済負担になる前に利下げに動いているようです。
1-2|追加利上げ派(引き締め継続)
アメリカ
アメリカは3月末も0.25%の利上げを実施しており、次回会合を5月に控えています。
前回のFOMCによるFRBメンバーの考えは、政策金利のピークまであと0.25%が有力になっており、あと1回の利上げを考えていることがわかります。

一方で今週発表された雇用統計の結果は全体的には良いものであり、まだ追加利上げができる環境であることを示すデータでした。
そのため、市場はリスクオフに傾いていました。

イギリス
イギリスも3月末に0.25%の利上げを実施しており、次回会合を5月に控えています。
今週のニュースでは、英中央銀行のチーフエコノミストが、十分な利上げが行われたかまだ確信できないと発言し、さらなる利上げの可能性からポンドが上昇しました。
市場の7割が0.25%の利上げを織り込んでいるとのことで、FRBへの予測と同様に追加利上げが予想されています。

EU(ヨーロッパ)
EUは以前からとてもタカ派な姿勢を見せており、株価も順調なため積極的に利上げをしていく旨の発言を繰り返しています。
アメリカやイギリスは0.25%利上げへと利上げ幅を小さくし始めていますが、EUは0.5%の利上げを続けています。
そのため今週のニュースでも、オランダ中銀の総裁が次回会合では0.25%か0.5%どちらの利上げにするかが議論の焦点になると発言していました。


2|IMFによる今後の経済見通し

4月11日にはIMF(国際通貨基金)が経済成長見通しをまとめた「WORLD ECONOMIC OUTLOOK」を発行しました。
世界の通貨制度を安定させるための活動をする世界組織
世界の190ヶ国が加盟
金融政策の状況把握、加盟国への金融支援、経済政策の発展に必要な各国支援などを実施
2-1|2023年の経済成長率は3%を下回り2.8%へ
レポート発行前の会見でIMFのゲオルギエワ専務理事は、今年の世界のGDPは3%を下回ると見ている旨を発言していましたが、実際のレポートでは今年の成長率は2.8%との見通しを発表しています。
直近で公表されている1月時点のレポートでは2.9%の成長と予測されていたため、従来の予想から0.1%の引き下げとなりました。
1月時点では、予想よりもコロナからの経済再開は早く進んでいるものの中央銀行の金利の高さやロシアの情勢による経済圧迫が影響し、コロナ前のレベルまで回復することは2023年は難しいとまとめられていました。
今回のレポートでは、インフレが各国の定める目標水準まで戻るのは2025年以降となる見込みとされており、今回の高インフレの影響は数年に渡る旨が記載されています。
2-2|今後5年間は3%程度にとどまる
また、専務理事はこの先5年間の成長率は3%程度になるだろうと発言をしました。
過去20年での平均成長率は3.8%のため、これからの5年間の成長率は歴史的にはかなり鈍化する見通しであることがわかります。
これほど成長鈍化になる理由としては、主要国での金融引き締めによる需要圧迫が影響すると考えているようです。

3|【まとめ】景気サイクルの転換点は近い?

金利据え置き派(引き締め停止)
オーストラリア:4月に据え置き
カナダ:3月に据え置き
【引き締め停止の主な理由】
利上げの経済影響、インフレ経過観察のため
アメリカ:0.25%利上げの可能性
イギリス:0.25%利上げの可能性
EU(ヨーロッパ):0.5%か0.25%利上げ
【引き締め継続の主な理由】
インフレ抑制がまだ必要であるため
まだ世界各国では高インフレに頭を悩ませていますが、一部の国で金利据え置きの動きが出てきています。
ここ1年の積極利上げの効果を判断するために時間を設けることが目的としていますが、金融引き締めの停止の動きが出てきていることに変わりありません。
IMFの見通しは高インフレと高金利の影響で、今後5年は3%程度の低成長としています。
そんな中でも各国で金融引締め停止の動きが出てくれば、大きな景気サイクルの転換時期への初動になると考えられます。
変化の波に乗れるよう経済の動きにも注目していきましょう。
景気サイクルについてはこちらの記事でもまとめているので、興味があれば見てみてください。





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