2020/12/23、アメリカのSEC(アメリカ証券取引委員会)がリップル社を提訴したとのニュースが出ました。

SECが提訴した内容とは?、その影響はどこにあるのか?をまとめました。
1|仮想通貨と世界恐慌の共通点

1-1|リップルを提訴したSECとは?
リップルを提訴したSEC(アメリカ証券取引委員会)は世界恐慌の時代に誕生しました。
SECはアメリカの連邦政府の傘下にある機関です。
投資家保護、健全な市場の維持を目的に、株式や債券などの取引をする市場でインサイダー取引や企業の不正会計などの違法行為を監視
・株式市場等で違法行為を監視
ここで注目すべきは、SECは「株式や債券などを取引する市場」で「違法行為の監視」を行っている点です。
SECが設立された1934年は世界恐慌の真っただ中です。当時の株式市場は、現在の仮想通貨市場と似た部分があります。
1-2|世界恐慌発生の原因と流れ
世界恐慌のきっかけとなったのは、1929/10/24のウォール街での株価暴落です。
第一次世界大戦が終戦し、勝利国となったアメリカは敗戦国ドイツの経済を維持するため輸出を活発に行い、アメリカ経済は大きく成長していました。
一般市民も投資ブーム
国内では、1920年代から一般市民にも投資が広まり始めます。チャップリンなどのスターが株投資のPRを行い、世の中全体で投資を推進するムードになります。一般市民が始めた投資は信用取引でした。
知識のない人が投資をしやすくするため、銀行が投資市場に参入し、証券所と投資家の仲介取引を始めます。
また若い人や女性も投資を行い、資金の少ない人は信用取引でどんどん株を購入していきます。1929/10/24までは株価がかなりの勢いで上昇していたため、信用取引をしても値上がり益がすぐ手に入ることから気にする人は多くいませんでした。
ゼネラルモーターズ株暴落➡世界恐慌
そんな中、1929/10/24に当時絶好調だった自動車業界の株、ゼネラルモーターズの株が大暴落します。
一部の投資家が下落に危機感を覚え株の売却を始め、翌日以降新聞でも報道されたため売却者が殺到し、大暴落へと繋がりました。
この日をきっかけに企業の倒産、従業員の解雇といった世界的な経済低迷が始まります。この期間を世界恐慌と指します。
法整備するためSEC誕生
当時は法整備されていない市場であり、明確なルールがない中で証券の発行や取引が行われていました。信用取引のリスクも明確に示されず、だれでも投資ができる環境でした。
さらに株価暴落が始まった原因をアメリカ政府が調査したところ、銀行が特定の株主だけに優先的に株を売るような不正を行っていたことも判明します。
このことに個人投資家は反発し、アメリカ政府は「株式市場の取り締まりと監視」をするためにSECを設立しました。
また、「1933年証券法」「1934年証券取引所法」が設立されました。これにより、公募の証券を発行する場合(今でいうIPO)は、発行する企業がSECを通して企業自身や証券の情報を情報開示することとし、発行企業が不正できない仕組みを整備しました。
1-3|仮想通貨と世界恐慌の類似点
現在の仮想通貨市場は、当時の世界恐慌の時代と似た部分があります。
具体的な法整備がされておらず、2017年のICOバブルの時には詐欺や不正なプロジェクトが存在しました。
今回のSECのニュースは、そんな仮想通貨市場に世界恐慌時に市場整備に関わったSECが本格的に言及してきたことが注目すべき点です。
2|リップル社への提訴内容

冒頭の記事では、リップル社が個人投資家に対してICOで「XRP」を販売したことが違法だと指摘されています。SECの指摘は2段の主張で成り立っています。
- 「XRP」が証券である
- SECを通さずに「XRP」をICOしたことが違法である
2-1|「XRP」が証券
リップル社のICOが違法とする前提には、「XRP」は証券であると主張していることがあります。
SECが管轄している範囲は「株式や債券などを取引する市場」です。暗号資産市場は新興市場であり、ここに該当していません。
そのため、仮に暗号資産市場で不正があったとしても、SECの取締りの範囲外となるわけです。SECは「XRP」が証券であると主張することで、まず自分たちの監視範囲であると定義しています。
「XRP」が証券であるかは「Howey基準」に基づいて主張されています。
SECがW. J. Howey社の訴訟事件で提示した証券と定義するための判断基準
・収益獲得が他社の努力によるものか
・共同事業であるか
・収益性があるか
・資金の出資であるか
将来の値上がりを期待してトークンを購入するICOやプロジェクトの収益を保有者に配分するトークンは証券だと、SECは指摘しています。
2-2|SECを通さないICOが違法
「XRP」を証券となればSECの監視範囲になります。
つまり、SECを通さずに個人投資家に「XRP」(=証券)販売し、資金調達したことが「1933年証券法」に触れると指摘しているわけです。
ここからはSECが勝訴した場合の取引所とアルトコインへの影響です。
3|仮想通貨取引所が受ける影響

まず前提として、SECの訴えはアメリカの市場における話です。その他の国々は直接影響を受けませんが、間接的に影響する可能性はあります。
- アメリカ市場の取引所への影響
- 各国の市場への影響
3-1|アメリカの取引所において
一番影響を受けたのはアメリカの暗号資産取引所の最大手、コインベースです。
コインベース:XRP取引を一時停止
2020/12/29にコインベースが「XRP」の取引を一時停止することを発表しました。

この決断は、市場の方向性を決める重要な発表でした。
コインベース・グローバルは、2020/12/17に来年の証券取引所上場に向け、SECに書類を提出したと発表しています。
企業の株式上場のためにはSECに承認を得る必要があるためです。

この動きとほぼ同じタイミングでリップル社が提訴されたとのニュースが出ました。
コインベースとしては、株式上場のためSECから承認を得たいところです。
一方でSECはリップル社の「XRP」を証券と主張しています。
主張が認められると、コインベースの取引所は証券を扱う許可を取っていないため、「XRP」を扱うことができなくなります。
しかし、「XRP」が証券と決定したわけではないため、ここで取り扱い停止や上場廃止にすると、決定していないSECの主張を受け入れたことにもなります。
自社の上場を優先
コインベースはアメリカの暗号資産市場最大の取引所のため、この動きは他の取引所にも影響する可能性が高いです。
コインベースはこの流れを想像すると、簡単に取引を停止にすることもできないのですが、今回はニュースの通り取引の停止を選択しました。
コインベースは自身の身か、暗号資産市場か、どちらを選択するか迫られ、結果として自身の身を選んだのです。
3-2|他国でも取引停止になるかも
アメリカ市場での動きは、他の各国へ影響する可能性もあります。SECが「XRP」を証券と認めた場合、アメリカ人はSECの承認を得た取引所でしか購入できなくなります。
基本はアメリカに本社のある取引所しか関係はありませんが、OKExなど世界各国で取引されている取引所はアメリカ人が取引する可能性もあることから「XRP」の取引停止や上場廃止の動きが出る可能性もあります。
4|アルトコインに与える影響

SECの「XRP」が証券とする主張が認められた場合、アルトコインでも「XRP」と同じ状況であれば証券とみなされます。
それらの暗号資産は徐々に取引所での扱いがなくなっていく可能性も考えられます。
4-1|「証券ではない」との判断はBTC/ETH
現状でSECが証券ではないとみなしている暗号資産は次の銘柄です。
- Bitcoin(BTC)
- Ethereum(ETH)
4-2|SECが証券ではないと判断しそうな銘柄
その他ICOをしておらず証券とみなされない可能性のある銘柄は時価総額50位以上だと次の銘柄が考えられます。
- Litecoin(LTC)
- Bitcoin Cash(BCH)
- Bitcoin SV(BSV)
- Monero(XMR)
- Crypto.com Coin(CRO)
- Dash(DASH)
- Zcash(ZEC)
- Ethereum Classic(ETC)
- Dogecoin(DOGE)
- Maker(MKR)
- SushiSwap(SUSHI)
これ以外の銘柄は、第二の「XRP」として話題に上がる可能性もあります。
「XRP」への投資に関係なく、SECとリップル社の動きに注目しておき、さらにコインベースの「XRP」への扱いにも注視しておく必要があります。
5|日本の仮想通貨市場への影響

5-1|ホワイトリスト登録のため問題なし
日本では「XRP」は金融庁のホワイトリストに登録されているため、リストから取消にならない限り問題はありません。
しかし各国の取引所が取扱いを廃止にすれば流動性が下がり、価格も下落する恐れがあるため、取扱い廃止になる可能性もあります。提訴内容の結論によっては、他のアルトコインも同様の動きになることが考えられます。
今回のニュースは、リップル社の「XRP」が証券であるとSECが提訴したニュースです。
一見すると「XRP」だけの問題に見えますが、暗号資産の市場、さらに世界の市場の方向性を左右する話です。
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