FRBが注目している雇用統計が発表されました。
今回は基本の解説を重視し、雇用統計の注目度が高い理由や8/5の発表による市場反応を解説していきます。
1|FRBと雇用の関係

まずはFRBの前提のお話から。
アメリカ中央銀行であるFRBは、二つの大きな責任として「米国の雇用の最大化」と「物価の安定」を負っています。
その責任を果たすため、FRBは金利を調整し、アメリカ経済を活性化していくことを目標にしています。
この理由から、FRBは雇用と物価に関して高い関心を持っています。
そして今週金曜日には注目指標である雇用統計が発表されました。
雇用統計は一般に以下の三つの指標をワンセットとして考えます。
非農業部門雇用者数 : 農業以外の産業の雇用者数増減を表すもの
失業率 : 失業者数の増減を表すもの
平均時給 : 農業以外の主要産業の賃金を時間当たりで計算したもの
今回はこの指標がいつも以上に注目されていました。
それはFRBのパウエル議長が、前回のFOMCで今後の利上げ幅について、データを注視して動向を決める旨の発言をしたからです。
つまり今回の指標結果が次回FOMCにおける利上げへの直接的な材料になる可能性があります。
そんないつも以上に注目された雇用統計が、衝撃の結果になっていました。
2|衝撃の結果と市場の反応

2-1|衝撃的な良い結果
8/5に発表された雇用統計の結果は、どの項目も予想を上回る良いものでした。
特に雇用者数は予想の倍以上の結果となり、コロナによる景気後退を感じさせない需要の高さとなっています。

また失業率に関しては3.5%とコロナ前の水準まで戻ってきました。
長期的に見ても3.5%というのはかなり優秀な数値で、過去の実績としては2019~20年のコロナ前と1969~70年のニクソンショック前だけです。
言い換えれば、ほぼこの数値より失業率が下がることはほぼなく、働きたいと思う人が何かしらの職に付けている状態(=完全雇用)にあるとみることができます。

2-2|市場の反応
雇用統計の結果を受け、投資市場は債券利回りが上昇し、株価は急落後すぐ回復に向かいました。
市場の動きは、雇用の回復が示されたことにより2通りの出来事が連想されたためです。
- FRBの利上げ
- 景気復活
まず、先ほど書いたようにFRBは利上げへの判断材料としてデータを参考にしていると言及しています。
そのため雇用統計結果が良かったことで「躊躇なく利上げできる」と判断するだろうと市場は連想しました。
金利に連動しやすい債券利回りは上昇し、利上げは景気を引き締める事となるため株価下落となりました。
その後、再度指標結果を踏まえた動きとして、雇用の復活は景気回復を意味していることから、株価上昇につながりました。

また今週発表されたISMの景況指数では、モノよりサービス(非製造業)に消費が傾いていることが示されています。
アメリカでは、コロナで抑えられていた消費に対する熱が復活してきて、それに伴い雇用の需要が高くなっていることが分かります。
3|【まとめ】今後のスケジュールと注目ポイント

次回のFOMCは9月20日と21日です。
そこまでには、複数の指標とジャクソンホール会議があります。

CPIはインフレ率を示す指標でもあるため、FRBは利上げ方針の材料としてみるデータの一つでもあります。
今週原油価格が下落したことから、インフレが一段落してきているという市場の見方もありますが、来週のCPIがどのような結果になるかは注目です。
雇用復活という景気後退への不安が無くなった中で、高インフレが改善されていないと判断されると、FRBによる躊躇のない利上げの実施が想定されます。
そのインパクトは大きなものになりそうです。
次回FOMCまでの各種指標は今まで以上に重要なものになると思います。



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